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尾崎 卓郎; 木村 貴海; 大貫 敏彦; 吉田 善行; Francis, A. J.
Environmental Toxicology and Chemistry, 22(11), p.2800 - 2805, 2003/11
被引用回数:21 パーセンタイル:45.2(Environmental Sciences)有害金属の環境中での挙動は、種々の無機または有機物質により支配される。本研究では、環境中に広く存在し、有害元素の環境挙動に影響を与えるクロレラ()を対象として、Cm(III)及びEU(III)との相互作用を評価した。バッチ評価によりpH3~5の溶液からのクロレラへのCm(II)及びEu(III)の分配比を測定した。両イオンの分配比は3分以内に最大に達し、その後は徐々に減少した。これは、Cm(III),Eu(III)に配位能を有する物質をクロレラが溢泌し、細胞上に吸着した同イオンが時間とともに溢泌物により脱着されることを示唆する。また、両イオンの分配比は高pHほど低く、溢泌物と両イオンとの親和性または溢泌量にpH依存性があることがわかった。時間分解レーザー誘起蛍光分光法によりクロレラ上に吸着したEu(III)の配位状態を調べ、吸着したEu(III)の内圏に存在する水分子の数が水溶液中のそれと同一であることがわかった。また、同手法により、クロレラ細胞上のEu(III)の吸着部位が細胞壁主成分であるセルロースであることも明らかにした。
尾崎 卓郎; 木村 貴海; 吉田 善行; Francis, A. J.*
Chemistry Letters, 32(7), p.560 - 561, 2003/07
被引用回数:5 パーセンタイル:26.49(Chemistry, Multidisciplinary)構造が類似した生体高分子であるキチン,キトサン及びセルロースへのEu(III)の吸着挙動を、分配比測定法及び時間分解レーザー誘起蛍光法(TRLFS)により調べた。Eu(III)のキチン及びキトサンへの分配比はlogK=24(gcm)であり、それらはセルロースへの分配比logK=0.53(gcm)より大きい。これらの生体高分子は類似した高分子構造を有するにもかかわらず、Eu(III)の配位環境は著しく異なることがTRLFSにより明らかになった。すなわち、キチンに吸着したEu(III)は内圏配位型,キトサンに吸着したそれは外圏配位型,セルロースに吸着したそれは、内圏型・外圏型の中間的な配位状態を示した。金属イオンと高分子との相互作用の解明には、高分子構造のみならず吸着イオンの水和構造の正確な把握も必要である。
永石 隆二; 木村 貴海; 吉田 陽一*; 古澤 孝弘*; 田川 精一*
Journal of Physical Chemistry A, 106(39), p.9036 - 9041, 2002/10
被引用回数:3 パーセンタイル:8.65(Chemistry, Physical)ユウロピウム(III)の還元に及ぼす配位状態の影響を解明するため、パルスラジオリシス法により水和電子とアミノポリカルボン酸錯体との反応の速度定数を測定した。ここで、錯体の内圏水和数が異なる9種類のアミノポリカルボン酸を用い、錯体の水和数や安定度定数,酸化還元電位と速度定数との線形関係を見いだした。このような錯体の還元機構を明らかにするため、速度定数の温度依存性により反応の活性化パラメータを評価し、ユウロピウムの3価/2価間の配位状態変化に伴う配位子の再配向が反応に直接反映していること、つまり、反応に対する支配因子がエントロピー項であることを明らかにした。さらに、速度定数のイオン強度依存性により還元機構における拡散過程について検討した。
木村 貴海; 永石 隆二; 加藤 義春; 吉田 善行
Journal of Alloys and Compounds, 323-324(1-4), p.164 - 168, 2001/07
被引用回数:50 パーセンタイル:87.64(Chemistry, Physical)水-非水溶媒2成分混合系に溶解したEu(III)の第1配位圏内の溶媒組成を発光寿命の測定により研究した。ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ホルムアミドまたはジメチルアセトアミドと水との混合系において、第1配位圏内の水分子数(内部水和数)を決定するとともに、非水溶媒分子がEu(III)に優先的に溶媒和することを明らかにした。一方、ピリジン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトンまたはアセトニトリルと水と混合系では溶媒和に比べて水和が強く、溶媒分子自身による消光なども影響するため、内部水和数の直接決定は困難であった。各混合系において、溶媒和の強さはバルク溶媒組成とともに大きく変化した。溶媒和の強さは溶媒のドナー数(電子供与性)及び双極子モーメント(静電的相互作用)の順序にほぼ一値したが、一部、溶媒分子の立体的障害も影響することを明らかにした。
高橋 嘉夫*; 多田 あきさ*; 木村 貴海; 清水 洋*
Chemistry Letters, (6), p.700 - 701, 2000/06
水-モンモリロナイト界面での14ランタノイド元素の分配をICP-MSを用いて同時に測定した。pH4から6の範囲において、ランタノイド元素の原子番号に対する分配係数の依存性から、モンモリロナイト表面との外圏または内圏錯体の生成を評価した。外圏錯体の生成は、配位水和水によるEu(III)イオンの発光の消光挙動により確認した。
高橋 嘉夫*; 木村 貴海; 加藤 義春; 薬袋 佳孝*
Environmental Science & Technology, 33(22), p.4016 - 4021, 1999/00
被引用回数:46 パーセンタイル:74.45(Engineering, Environmental)水溶液中でポリアクリル酸、ポリメタクリル酸で被われたモンモリロナイトなどの有機-無機複合体上に吸着したEu(III)のスペシエーションに時間分解蛍光法を応用した。Eu(III)吸着種の発光寿命、発光スペクトルの測定から、Eu(III)はEu(III)-ポリカルボン酸錯体としてモンモリロナイト上に吸着することを見いだした。さらに、Eu(III)-ポリカルボン酸錯体及び無機Eu(III)化学種の安定性が有機-無機複合体上のEu(III)吸着種を制御することを明らかにした。これらから、天然水系においてEu(III)がフミン酸-粘土鉱物などの有機-無機複合体と接触すると、Eu(III)はフミン酸錯体として吸着することが示唆された。
木村 貴海; 加藤 義春; 武石 秀世; G.R.Choppin*
Journal of Alloys and Compounds, 271-273, p.719 - 722, 1998/00
被引用回数:48 パーセンタイル:88.91(Chemistry, Physical)III価アクチノイド、ランタノイドの分離は、高濃度塩素系での陽イオン交換で可能であるが、硝酸系や過塩素酸系では不可能である。媒質中での分離機構の違いは、吸着種の分子レベルでは明らかではない。これまで、時間分解蛍光法によるCm(III)及びEu(III)の内部水和数Nの決定法を報告してきた。本報では、この方法を固液界面でのこれらイオンの水和状態の研究に適用した。陽イオン交換樹脂AGWX8を試用し、トレーサーによる分配計数K,ならびに酸溶液及び樹脂/溶液界面におけるNを測定した。5M以上の塩酸溶液中でCm(III)とEu(III)のK及びNに違いがみられた:K(Eu)K(Cm),N(Eu)N(Cm)。これは、Eu(III)よりCm(III)がクロロ錯体形成が強いことによる。高濃度塩酸中で樹脂上のイオンの内圏から約3-4の水分子が排除されていた。硝酸、過塩素酸溶液での結果も併せて報告する。
高橋 嘉夫*; 木村 貴海; 加藤 義春; 薬袋 佳考*; 富永 健*
Chemical Communications, (2), p.223 - 224, 1997/00
固液界面に吸着した金属イオンの化学種の構造に関しては、それに適用できる分析法が限られるために、未解明な点が多い。ここでは、初めての試みとして時間分解蛍光法をイオン交換樹脂に吸着したユウロピウム(III)の水和構造の研究に適用した。強酸性(スルホン酸系)及び弱酸性(アクリル酸系)イオン交換樹脂に吸着したEu(III)と、比較のために鎖状高分子のポリスチレンスルホン酸系及びポリアクリル酸系におけるEu(III)の水和数Nを測定した。強酸性樹脂にEu(III)はpH1で吸着され、7N8であった。ポリスチレンスルホン酸系ではほぼ9であるため、この違いは樹脂の網目状の骨格による効果と推定した。弱酸性樹脂にはpH4で吸着され、ポリアクリル酸系と同様に2.5N3.5であった。以上のように、水和数の直接決定により吸着機構の違いを定量的に証明することができた。
高橋 嘉夫*; 木村 貴海; 加藤 義春; 薬袋 佳孝*; 富永 健*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, Letters, 212(1), p.11 - 21, 1996/00
ポリアクリル酸及びポリマレイン酸錯体中のユウロピウム(III)に結合した水分子数を評価するために、それらの蛍光寿命を測定した。支持電解質濃度が0.01Mの場合、錯体中のユウロピウム(III)に残存する水和数は3.5~4.5の範囲であった。残存水和数は支持電解質濃度の増加とともに減少した。これらの結果は、錯体中のユウロピウム(III)は高分子配位子によりとり囲まれていることを示す。